2014年10月10日放送のテレビ東京の番組『有吉のバカだけどニュースはじめました』にて、勝谷誠彦、青山繁晴ら解説員が、議論も分かれ、把握しづらい集団的自衛権の内容について解説を行っていた。
まず、7月1日の閣議決定では、「集団的自衛権」発動の3要件について以下のように定義を行っている。
・我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
・これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
・必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
この要件を踏まえ、それぞれのパネラーが「一言」で集団的自衛権を解説するという試みを行っていた。
□青山繁晴「自分で守りきれない時、皆で守る事」
青山繁晴:安倍内閣・安部総理は、説明をこのようにしたので、余計に分からないし、凄く怖いイメージをもつことになった。日本は、核兵器を持ってないけど、核兵器を持ってる国は、よっぽどのことがあったら、使うって言ってる。それと似た感じで勘違いされてしまう。海外では当たり前の話が、安倍さんのあの話で、とんでもない怖いものと思われてしまった。
僕は根っこのところを、「自分で守りきれない時、皆で守る事」と書きました。これ、体で示して良いですか?…小峠さんが、たとえば僕を殴っているとする。その拳から、自分を守ろうとする。これを「自然権」といいます。人間として生まれたら、自分を守れる。これを「自衛権」といいます。
でも、小峠さんが体を鍛えてて、守りきれない。そこで、「見てられない。もう、その辺にしたら?」と、近藤春菜さんが小峠さんの腕を引っ張る。ここで、僕1人が攻撃を防ぐのが、個別的自衛権で、春菜さんが協力してくれるのが、集団的自衛権。それだけなんです。
色々意見はありますよ。だけど、守るときに、1人だけで守るとは限らないから、予め、気持ちの通じてる人に、腕を引っ張ってもらったりする。これを戦争って言うこともあるけど、2人が大げんかになって、ケンカするっていう意味では、本来はないんです。
1人だけで守るか、みんなで守るか、の違いです。
バカリズム:解釈としてどこまでって問題があるじゃないですか。今、春菜さんが腕を引っ張ったじゃないですか。これが、殴ることもあるのか、こっちも殴られることもあるのかってことまで知りたいですね。
堀ちえみ:あと、武器を持つのか持たないのか。
青山繁晴:武器は、基本的に持つことを言います。これは、国連憲章にも、武力行使って書いてる。
□山口正洋「アメリカが勧告を助けるときに、日本も手伝う事」
・経済評論家・投資銀行家である山口正洋氏の解説
山口正洋:「アメリカが勧告を助けるときに、日本も手伝う事」…これを僕がなんで書いたかというと、今、一番どういうリスクが大きくて、何が起こるかってことを考えたら、このリスクが一番デカイと思うんですよ。
韓国がもし、北朝鮮があれだけ独裁国家だから、何をするか分からない。仮に攻められた場合、何が怖いかって、米軍が日本から行きますよね。すると、今の状態でいくと、アメリカ軍に対して、日本国内で食料を補給したり、あるいは後方支援ですらダメだってことにもなりかねない。それで、あえてここでこの解釈でカバーしないとダメだってことで、集団的自衛権ということで、もう一回、定義しなおしたということですね。
田岡俊次:韓国に行くって話なんですよ、大体ね。ところが、韓国軍ってものすごく強くて。東アジアで最強の軍隊。日本の陸上自衛隊が、13万人、韓国は52万人。戦車数も3倍以上、大砲も5倍とかね、物凄い強い。日本が行ったって、助けにならない(笑)むしろ、来るなって言ってるんだから。
青山繁晴:韓国軍の評価は、僕と田岡さんは全く違うんだけど。とりあえず韓国が断るだろうってところは同じ。
田岡俊次:だから、あそこに助けに行くってことはありえない。
田岡氏は、元朝日新聞社記者、元AERA編集長、軍事ジャーナリスト。
堀ちえみ:日本も、徴兵制が行われるってことはありますか?
田岡俊次:ならない。素人では、ほとんどダメになって。韓国でも、陸軍の2割程度。10万人くらいしか徴兵はいないわけ。あとは、プロの世界で。ミサイルを使ったり、コンピュータを使うって、とても複雑になったから、一年やそこらでは集めて訓練しても、使い物にならない。
青山繁晴:堀さん、徴兵って何年くらい兵隊やるか分かりますか?どんなに長くても3年。短いと1年半~2年ですよ。今の兵器はハイテクなんで、そういう人が仮に3年やったとしても、使いこなせないんで。プロでないといけないんですよ。その証拠に、アメリカは1975年、アメリカでベトナム戦争に負けて、何をしたかっていうと、徴兵制を廃止した。プロでないと、負けるから。
□柳澤協二「自分が攻撃されていないのに、他所の国を守る」
・元内角官房副長官補である柳澤協二氏の解説
柳澤協二:色んな見方があって、どっちから見るかだけど、今、日本で議論されていることは、日本が攻撃されていないのに、よその国を守るかどうか、ということが議論されているわけですね。そうすると、日本も戦争当事国になるんだ、ということですね。それが本質だと考えています。
堀ちえみ:その中で、撃ち合いだったり、殺し合いも含まれるんですか?
勝谷誠彦:ちゃんと国際法で決まってるんですよ。戦闘員と非戦闘員、軍服を着ていない、非戦闘員を殺してはいけない、というルールがある。でも、戦闘員同士は戦うために兵隊をやってるんだから。
青山繁晴:誤解されるかもしれないけど、殺しに来られるのを防ぐってことですよ。
バカリズム:この問題が出てきてるってことは、それだけ日本の周りが深刻な状態になってきてるってことですよね?
勝谷誠彦:奇跡的に何も起きなかっただけ。たまたま。そういうことは今までずっとあったわけですよ。
田岡俊次:冷戦時代は、もっとあった。冷戦の頃の中国は、今の中国の怖さの比ではないですよ。
□森永卓郎「正義のない戦闘で、自衛隊が人殺しをするようになる」
森永卓郎:集団的自衛権行使の本質は、日本がアメリカの戦争に巻き込まれて、何の正義もない戦争に自衛隊が参加して、そこで、罪もない人を大量に自衛隊が殺めてしまうってことなんですよ。
実は、世界で最も凶暴でケンカっぱやい国っていうのは、アメリカなんですよ。ベトナム戦争から湾岸戦争、イラク戦争。アフガニスタン。ずっとやってきた。
それがほぼ全てが正義のない戦争で、アメリカは利権のために戦争するんですね。イラクの時だって、「自衛隊出てこい」って言ったわけですよ。でも、そこで唯一の歯止めとなったのが、「集団的自衛権の行使はできない」ってことだったわけですよ。
それをOKにしたら、確実に日本はアメリカの戦争について行って、当事者になる。政府は、日本が判断して、「これは良い/悪い」と言うって言ってるんですけど、それは不可能だと思います。なぜかというと、今までの日米交渉の歴史をみると、日本がアメリカに交渉で勝ったことは、ただの一度もないからです。
青山繁晴:ちょっとここで一言言っておかなければいけないのは、日本はアメリカの言いなりにずっとなってきてます。森永さんは、集団的自衛権を容認したら、余計にアメリカの戦争につれていかれるとおっしゃってる。それは、森永さんと日本国民はそうであって、バカリズムさんはそうですか?僕は少なくとも違いますよ。日本が責任を果たせる国になったら、アメリカにもっと物を言える国になるんじゃないですか。誰がアメリカの言いなりになるんですか。
田岡俊次:しかし、今の外務省なんかみたら、危なっかしくて。
青山繁晴:今の外務官僚や防衛官僚も変える必要がありますけどね。
他にも、番組で詳細を紹介してはいなかったが、勝谷誠彦「友達がいじめにあった時に助けてあげましょう」、田岡俊次「密接な国が攻撃を受けている時に助ける」との解説が行われていた。
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