・ブラジル:レナト・アウグスト76’
・ベルギー:O.G(フェルナンジーニョ)13’、ケヴィン・デ・ブライネ31’
・デ・ブライネが“王国”の夢を打ち砕く!ベルギー、ブラジル下して32年ぶり4強入り
ロシア・ワールドカップ準々決勝が6日に行われ、ブラジルとベルギーが対戦。ベルギーが勝利し、準決勝進出を決めた。
史上最多6度目の優勝へ邁進するブラジル。ドイツやスペインといった直近の優勝経験国が早々に敗退する中、ここまで順当な勝ち上がりを見せてきた。選手個人能力だけでなく、チッチ監督のもとで試合巧者ぶりを見せつけてきた“王国”は、今大会の優勝候補最有力だろう。そんなブラジルは、予告通りネイマールやコウチーニョといった主力が軒並み先発。左サイドバックにはマルセロが復帰し、ベストメンバーでこの一戦に臨んだ。
対するのはベルギー。ラウンド16では、日本代表相手に2点を先行されながらもフェライニやシャドリの投入で流れを取り戻し、後半アディショナルタイムに逆転。選手層の厚さを見せつけての8強入りとなった。“レッド・デビルズ”は、前の試合から2選手を変更。日本戦で活躍したフェライニとシャドリを先発させている。マルティネス監督は、これまでの3バックから4バックにシステムを変更し、大一番に臨んだ。
立ち上がりは、両チームともにボールを握って主導権を獲りに行く。ベルギーは2分、デ・ブライネがミドルを放ち、ブラジル守護神アリソンを脅かす。
対するブラジルも、ネイマールのCKからミランダがフリックしたボールを、T・シウバが合わせる。しかし、これはポストに阻まれた。さらにジェズスがエリア内でビッグチャンスを迎えるなど、相手ゴールに近づいていく。
すると13分、意外な形で試合が動く。デ・ブライネがCKでニアをねらうと、ジェズスとフェルナンジーニョが被ってしまう。ボールはフェルナンジーニョに当たり、自陣ゴールに吸い込まれた。ベルギーが貴重な先制点を手にする。
スコアが動いた後、試合はよりオープンな展開となる。互いにエリア内に侵入するシーンを作っていき、両守備陣が忙しくなっていく。25分には、マルセロが左サイドを突破して強烈なシュートを放った。
オープンな展開でどちらにもチャンスがあったが、次のゴールを奪ったのもベルギーだった。31分、中盤でルカクがカットし自ら持ち運ぶと、ゴール前でパスを受けたデ・ブライネがミドルシュート。右足から放たれた強烈なボールが、ネットに突き刺さった。前半の内に“レッド・デビルズ”が2点をリードする。
2点を先行されたブラジルも反撃に出る。36分、コウチーニョが得意の角度から強烈なミドルを放つ。しかし、高い集中力を見せるGKクルトワが横っ飛びで弾き出した。ブラジルはゴール前には近づくが、なかなか決定機を作れない。ネイマールもフェライニのマークにあい、輝きを見せることができない。
前半はこのまま終了。ベルギーが2点をリードし折り返した。
劣勢のブラジルは、後半からウィリアンに代えてフィルミーノを投入。チッチ監督は、ネイマールを最前線でフィルミーノと組ませ、左にコウチーニョ、右にジェズスを置く4-4-2にシステムを変更した。
攻めなければいけないブラジルは、54分にパウリーニョがエリア内に侵入しシュート。さらにジェズスがエリア内で股抜きを仕掛け、コンパニーに倒される。しかしビデオ判定の結果、すでにゴールラインを割っていたとしてPKにはならない。
58分、ブラジルはジェズスに代えてD・コスタを投入。ウィンガータイプを入れて勝負に出る。背番号7は、投入直後にカットインからシュートまで持ち込んだが、ここもGKクルトワが立ちはだかる。チッチ監督は72分、パウリーニョに代えてアウグストを投入し、3枚のカードを使い切った。
するとこの采配が的中。76分、エリア外でコウチーニョが浮き球のスルーパスをエリア内に送ると、飛び込んだアウグストが頭でネットを揺らした。ブラジルが1点差に迫る。勢いに乗るブラジルは、ネイマールのパスからフィルミーノがシュートまで持ち込み、アウグストがミドルを放つなどゴールに近づいていく。
流れを渡してしまったベルギーは、痛めた様子のシャドリに代えてフェルマーレンを投入。マルティネス監督はCBを増やし、さらにルカクに代えてティエレマンスを入れ、試合を終わらせにいく。
90分にはエリア内の競り合いの中でネイマールが倒れるが、ビデオ判定でもPKとはならない。ネイマールはその直後にもミドルを放つが、最後までクルトワが立ちはだかる。
結局、試合はこのまま終了。ベルギーが2-1と勝利した。ベルギーは優勝候補最有力と見られていたブラジルを下し、1986年大会以来のベスト4進出を決めた。
この結果、ロシアW杯準決勝最初の対戦カードが決定。ベルギーは10日、決勝進出を懸けてフランスと対戦する。
via:goal.com
・31’ルカクのカウンターからデ・ブライネのミドル
・ハイライト
https://www1.nhk.or.jp/sports/2018fifaworldcup/videos/index.html?video_id=6e20d7cc-f929-412d-9521-b91f9482f528
https://tver.jp/corner/f0024022
・FIFA.com
・sky sports
・ESPN
・whoscored.com
・ベルギーは日本戦を“糧”に。ブラジル撃破の周到な計画と爆発した『個』。王国は必然の敗戦
■日本戦で露呈した弱点を消し、ルカクを右に
一人ひとりの高い技術に裏打ちされた、流れるような攻撃。局面を打開する個の突破力、相手の心をへし折る鋭いカウンター。相手を打ちのめすための術をいくつも持っているのが、サッカー王国たる所以だった。しかし、カザンアリーナでそれらを見せたのは赤い悪魔と呼ばれるチームだった。彼らは戦前からあった勢いに加え、この試合で本物の強さを肉付け。敗戦に呆然とした様子のカナリア軍団を力強く踏み越えていった。
ロシアワールドカップ準々決勝、ベルギー代表は2-1でブラジルに勝利。グループリーグ初戦以外は無失点で勝ち上がってきたブラジルに対し、ベルギーはここまで12得点を稼いできた。決勝トーナメント1回戦では日本に2点を先行されながら、選手交代で流れを得ると最後は高速カウンターで仕留めている。
ベルギーにとってこの日本戦は意味のあるゲームとなった。ウイングバックの裏、センターバックの脇を使われた反省を生かし、もしくはそこがウィークポイントだと改めて確信し、ブラジル戦では守備時に4バックになる形を採用している。日本に破られるのだからブラジルには粉々にされるに違いない、と。
また前線はロメル・ルカクが右サイドに張り、対峙するマルセロをけん制。この試合で復帰したブラジルの左サイドバックは、ネイマールとコウチーニョを最良の形で輝かせられる。マルセロが攻撃に絡むことによる不利益を最小限に抑えるためにも、ルカクをぶつけ、裏のスペースに注意を向けさせた。また、マルアン・フェライニを先発させ、ケビン・デ・ブルイネを前に置いた。システム上の泣き所を潰しつつ、前線の配置も変えることで速攻の威力も担保した。
それでも、最初の決定機はブラジルに訪れた。8分、左CK をネイマールが二アサイドに蹴りこむと、ミランダが頭ですらしてチアゴ・シウバが合わせる。しかし、うまくミートできずポストに阻まれてしまう。これをモノにできなかったことが、ブラジルにとって大きなダメージとなる。■ブラジルにカゼミーロがいたらどうなっていたか
最終的にブラジルは相手の2倍となる8本のCKを得ているが、最初のチャンスを決められず。残りの機会でもティボー・クルトワの牙城を崩せなかった。『あれしかない』という形だったからこそ、ネットを揺らしておかなければならなかった。
その5分後、ベルギーが先制に成功する。同じように左CK、ニアにヴァンサン・コンパニが走りこむと、フェルナンジーニョに当たってオウンゴール。ベルギーが1点リードを得た。カゼミーロが累積警告のため出場できなかったこの試合、代わりにスタメンに名を連ねたのはフェルナンジーニョだった。ここまで全試合で途中出場しており実力に疑いの余地はない。オウンゴールは不運だったが、データサイト『whoscored』によればインターセプトは両チーム最多タイの5回と、90分通してやれることはやったと言える。カゼミーロであってもこの試合の結果を変えることはできなかったのではないか。
ベルギーの選手たちはアンカーに捕まらないポジションに立って攻撃を展開していた。先制のCKに繋がる攻撃がそうだった。まず左のシャドリがフリックでルカクにつける。チアゴ・シウバに詰め寄られるもルカクはボールを失わない。そして、アザールがミランダを引き連れ、ルカクの後ろに流れる。ミランダと左SBのマルセロとの距離が空き、そこにフェライニが待つ。ルカクはパウリーニョにも寄せられるも、フリーのデ・ブルイネにパス。フェルナンジーニョの脇をデ・ブルイネが通し、フェライニがフィニッシュに持ち込んだ。
“アフロマン”のトゥーキックシュートはミートしておらず、CKからフェルナンジーニョがオウンゴールを献上したのもアクシデントと言える。だが、ベルギーが試合を動かすのは時間の問題だった。局面でフリーになるための動きとボールワークを繰り返すベルギーを止めるのは容易ではない。■ブラジルをも破壊した伝家の宝刀
そして31分、ブラジルが後手を踏んでいる間にベルギーが追加点を奪う。相手CKをクリアすると、ルカク収めて前を向いてカウンターが発動。追いすがる相手を尻目にグイグイと運ぶと右へパスを出す。自陣ゴール際から走っていたデ・ブルイネが右足を振り抜き、弾丸のようなシュートを突き刺した。日本戦の3点目のような電光石火のそれではなかったが、それでもブラジルは全く対応できなかった。
ベルギーのカウンターはその威力もさることながら、不発に終わらないから相手に脅威を与え続けることができる。62分、シャドリが相手のパスを奪うと、粘ってパス。デ・ブルイネは持ち込みながら左右を味方が走っているのを確認し、左のアザールを使う。10番の左足シュートは外れたが、フィニッシュに持ち込んだ。また、たとえシュートで終われなくても相手を裏返し、自陣に引き戻している。そして、無理に打たずに作り直して相手を焦れさせることもできていた。
とはいえ、後半はブラジルのペース。頭からウィリアンを下げてロベルト・フィルミーノを投入し、58分にはガブリエル・ジェズスを諦めドウグラス・コスタを送り込んだ。ミランダがルカクの監視を強め、その恩恵を受けたマルセロが高い位置を取れでゲームに関わるようになる。そして76分、コウチーニョの浮き球に反応したレナト・アウグストが頭で決めて1点を返した。[4-3]で作られたベルギーのブロックを無力化するようなコウチーニョのアイディアとレナト・アウグストの抜け目ない動きだった。
だが、もう1点が遠い。ネイマールが仕掛けて相手を出し抜こうとするも、ホイッスルは鳴らない。倒れるたびに何度もレフェリーにアピールしたが、「立て」のジェスチャーをもらうだけ。VARも助けてくれない。そのうちチーム全体にパスミスが見られるようになった。こじ開けてくるブラジルを目の当たりにしたことで、ベルギーにも隙はなくなっていった。■ブラジルは出し尽くした。ベルギーの勝利に不思議なし
アディショナルタイムは5分と表示された。ブラジルは最後の猛攻に出たが、ドラマを生み出すことはできなかった。シュート数26:8、枠内シュートでも9:3と大きく上回りながら決め手を欠いた。個々のクオリティも層の厚さも、集団としての強さも今大会への並々ならぬ思いも、優勝候補筆頭と呼ぶに相応しいものだった。オウンゴールでビハインドを背負ったのは誤算かもしれないが、運が悪かったということにはならないだろう。
王国を倒すためにプランを用意し、個の質でまったく劣らないベルギーが勝ったことを不思議に思う者もいない。ブラジルは全てを出し尽くした。優勝する可能性もあったが、ベスト8が限界だとしても納得の敗戦だった。
この大会にかける思いではベルギーも負けてはいなかった。アディショナルタイム、アザールは残り少ないパワーを放出している。押し込まれる中、10番はボールを持ったらドリブルで前進。たった一人でキープし、相手はファウルで止めるしかない。そのドリブルはゴールを奪うためではなかった。時計の針を進めるための、味方に一息つかせるためのものだった。
彼を筆頭とした“黄金世代”は大きな期待を背負いながら、2014年ブラジルワールドカップ、EURO2016ともにベスト8止まりだった。大会を席巻する力を秘めていながら、ダークホースの域を抜け出せなかった。そんな負の歴史を払拭するかのような、アザールの意地が凝縮されたラスト5分だった。
そして今回、ついに歴史を動かした。ベルギーサッカー史上最も頂点に近いチームであることは間違いない。16年9月のスペイン戦を最後にこれで24戦負けなしだ。次の関門はフランス。カウンターの名手同士の対戦となる。
via https://www.footballchannel.jp/2018/07/07/post280340/
・南米勢全滅…。4強全て欧州勢は3大会ぶり
現地時間6日にロシアワールドカップ準々決勝の2試合が行われ、ブラジルとウルグアイが敗退した。これで南米勢が全て大会から姿を消したことになる。
ブラジルはベルギーに、ウルグアイはフランスに、それぞれ敗れてベスト4進出を逃した。アルゼンチンとコロンビアは決勝トーナメント1回戦で敗退、ペルーはグループリーグを突破できず、これで5チーム全てが姿を消している。
2014年のブラジルワールドカップでは、アルゼンチン(準優勝)とブラジル(4位)が4強に残り、2010年の南アフリカワールドカップではウルグアイ(4位)が準決勝まで進んでいる。南米勢がベスト4に1チームも残れなかったのは3大会ぶりだ。
準々決勝は2試合残っているが、ロシア対クロアチアとスウェーデン対イングランドはいずれも欧州勢対決となるため、ベスト4全てが欧州の国となることが確定した。これも2006年ドイツワールドカップ以来のことだ。
via https://www.footballchannel.jp/2018/07/07/post280273/